要点講義の芯 実例講義で示された場面 声受講生・参加者の言葉 問いあなたへの問いかけ
要点Day3は、マイク・タイソン(ボクシングの元ヘビー級世界王者)の言葉から始まりました。
ここには2つのメッセージがあります。プランは、始まる前には有効だということ。そして、プランを立てなければ行き当たりばったりになるということ。参加者が書いた「私ならこうする」は、どれも素晴らしいプランでした。
そして、セッションでうまくいかないのは普通のことです。神先生自身も「呼吸するぐらい」うまくいかない瞬間を経験し、言い直し、立て直しながら進めています。
お金を一つの株に全部入れたら、下がったときに取り戻せない。道が一つしかなかったらアウトです。来る前から「今日は誰が来てもこの技法で」と決めていると、目の前の人をその型で見てしまい、本質に届かない可能性があります。
要点だから必要なのが「ゲームマインド」。固執するのは「諦めない」ことだけ。うまくいかなければ別の手を試し、柔軟に自分のありようを変えていく。ゲームとは遊びで軽くやるという意味ではなく、プロが真剣にトレーニングし、戦略を立てて臨むものです。
実例2023年、神先生が招待された心理療法の国際会議「エボリューション・オブ・サイコセラピー」で、心理療法のAI代替についてのセミナーがありました。「皆さんの仕事が脅かされることは当面ありません」。ただし、手順が明確な心理療法——いつ、どこで、どんな話をするかが言葉で決まっているもの——は、早晩AIが対応できるようになる、と。
いま世界では、AIをメインにして、人はほんのプラスアルファという形のAIコーチング企業が次々に出てきています。
一方で「オウム返しで良い人にはAIがちょうどいい」という声には、神先生は少し注意を促しました。いまのAIはオウム返しどころか、要約も言い換えもします。特に指示されない限り、相手をとても気持ちよくさせ、スムーズに解決策まで出してくれる(中身が誤っていることはあっても)。
要点では、私たちはどこを見ていけばいいのか。人肌の言葉をどう再現するか。思いやりをどう再現できるか。その答えの一つが、次の節の「人としてのメッセージ」です。
要点コーチングでも、カウンセリングでも、セラピーでも、コンサルティングでも、支援する側には必ずゴールが必要です。けれど「ゴール達成を支える」「悩みを軽くする」「トラウマを癒す」「ブロックを外す」は、スタイル(プロセス)の目的であって、あなた自身の目的ではないはずです。
神先生は、こう問い直しました。あなたはクライアントの何を見たいから、クライアントと何を体験したいから、支援をしているのでしょうか。そして、それを一言のメッセージにするなら?
要点ただし、あなたは知っています。このメッセージを、初対面の人にそのまま言っても受け取ってもらえない。「あなたはあなたのままでいいんですよ」と言えば、「ほっといてください」と返されるかもしれません。
だから、メッセージは心の中に秘めて支援をする。そしてそれを届けるには、いまの支援の枠組みの外側に出る必要がある——ここが、この後の話の土台になります。
実例Day2の続き。4期生のあっこさんとのセッションで、「今あなたの中で何が起きていますか」と聞いた後、長い間があり、あっこさんは笑いながら「泣きそうです」と言いました。
チャットでは1と2が多く、4が少しずつ増えていきました。何度も繰り返されたのは、「全てプランとして正解」ということです。
「泣いていいんですよ」と言ったら、彼女はたぶん涙をやめたでしょう。彼女は必死に涙を止めようとしていた。なぜ我慢しようとしていたのか、が大切なのです。
要点しかもこれは、最初から戦略として言ったわけではありません。話している間に「涙を止められていない」と発見し、出てきたものに後から意味をつけた。「間違えそうなら途中でやめる」というパターンを、一つ破れた。その達成を承認したのです。
なだらかな坂道になると、自分でも「イケてるな」と嬉しくなる。けれど最初から坂道にする必要はありません。発想は、階段を一つずつ積み上げ、その段差をどんどん細かくしていくこと。それが、4.0を学ぶ人が成長していくうえでのチャレンジです。
実例涙が流れたあと、どこへ進むか。4択は「1 いまの経験を深掘りする/2 なりたい姿を引き出す/3 象徴的な過去の体験に導く/4 それ以外」。チャットでは4と2が多く、3も多め、1はゼロでした。神先生が進んだのは3。あっこさんは、中学1年のときのある「二択」の記憶を思い出しました。
要点1〜4のどれを選んだとしても、そこには「どこかへ導こう」という意図がある。つまり、言いたいメッセージがあったわけです。方法ではなく、何と伝えてあげたかったから、その番号を選んだのか。
それをダイレクトに伝えても受け入れられない。だから「いざなう」というやり方を選ぶ。選択の奥にある自分のメッセージにたどり着くと、選択がはっきりしていきます。
あっこさんとのセッションは初めてで、コーチングや心理療法の経験もほとんどありません。それでもすっと過去の記憶が出てきたのは、いきなりやっていないから。そして無理やり連れていかないから。「原体験に戻りましょう」とは聞かず、先に「種まき」をしています。
一度「一番最初はいつでしたか」と聞きかけて、反応を見て「ちょっと早い」と感じ、話しながら「最近はどんな場面で?」に切り替えた場面もありました。行き過ぎたら戻る。そしてもう一度、種をまく。
要点ここで視点を変えて、これまでの支援の型が、どこで行き詰まるのかを見ていきます。
| コーチング2.0(GROWモデル) | コーチング3.0(ブロック解除) | |
|---|---|---|
| 進め方 | クライアントのゴールを、クライアントのやり方で探求する(ゴール・現状・選択肢・意思) | クライアントのゴールを、コーチのやり方で探求する。本人も気づいていない心理的な障壁を、コーチの説明原理で取り除く |
| 行き詰まるとき | クライアントがゴールもプロセスも知らないとき。「聞くだけ」「なぜと聞かない」「アドバイス禁止」というルールがあると、届けたいメッセージが届けようがない | 「取り除いてあげる」と考えた瞬間、クライアントの立場がもう一段下がる。会う前に使うスキルが決まっている |
| 正解のありか | どちらも手順化されたスキル。「正解は私と手順にある、クライアントではない」という前提 | |
自分で「甘えなんですけど」「甘いですね」と自分を罰する方向に話をまとめていくクライアントに、「どうなりたいか、どうしたいか」を聞くだけでは届かない領域があります。ここがコーチング2.0の限界です。
制限解除の前提は、「取り除く手順をこちらは知っている。あなたはブロックがあることすら知らない」。これはコンサルティングのモデルです。有能な問題解決者が必要になるのは、クライアントに解決策がないから——実践者自身もまったく意識しないまま、クライアントの立場が下になってしまうのです。
ブロック、ビリーフ、根っこ……どれもたとえです。心の中に実体として置いてあるわけではありません。
ブロックがメタファーなら、「人間は織物だ」というメタファーも成り立ちます。ツイードのジャケットを想像してください。シルクを理想とすれば、ネップ(糸の節)は不良品です。けれど人の存在は、むしろコツコツ、ブツブツした風合いのある生地のようなもの。でっかい節を「ブロック」として取り除いてしまったら、それこそ不良品になってしまいます。
要点心理障壁が、その人の個性や風合いを表すネップだったとしたら——取り除けるのか。取り除いていいのか。神先生は、この問いを持ち帰ってほしいと語りました。
実例あっこさんは「甘えなんですけど」と自分を責め、やがて「幼すぎた」と言い換えました。ここから続いた3つの4択と、神先生が実際にしたことです。
| 場面 | 4択とチャットの傾向 | 神先生がしたこと |
|---|---|---|
| 「甘えです」 | 1 選択を支持する/2 異論を挟みリフレームする/3 未来に方向づける/4 それ以外。分かれた(4がやや多め) | 「未成年という言葉がありますね。成年にあらずということなんです」——当時は子どもだった事実に目を向ける |
| 「幼すぎた」 | 1 無力感のブロックとして取り除く/2 今どう役立っているか、リソースに変える/3 切り離された過去の自分として扱う/4 それ以外。2が圧倒的 | 「幼すぎたのであれば、幼かっただけですね」。「押さない(ボタン)」と「幼い」を重ねて語り、子どもでよかったことを受け取れるように。そして「ヤングあっこは体のどこにいるんですかね」 |
| ヤングあっこ | 1 安全を宣言する/2 触り方や仕草を指摘する/3 あの頃の自分との和解・統合を誘う/4 それ以外。3と4が多く、2は人気なし | 2。「少し触り方が雑ですね」から入り、どちらを選んでも後悔した決断として、両方を肯定する |
ビル・オハンロン(エリクソンの弟子で、神先生が教わった心理療法家の一人)は、セッションをカーリングにたとえたそうです。クライアントが進む道の少し先を掃いて、ちょうどいいところへ進めるようにする。どのボールを投げても、大事なのはそれがクライアントにとって最適になるように掃くこと。
要点コーチング4.0には、道具はあっても決まりきった手順はありません(はじめての人のために、6つのステップは置いてあります)。大切なのは在り方。そして3.0と決定的に違うのが、両方の型を持つことです。
障壁は心の織物の一部。制限は、生きるために、守るために、その人自身が過去に決めた大切な決断。成長して要らなくなったとしても、誰しも「もう明日から発動しなくていいから」と追いやられたくはありません。
「全部、未来にも統合してるし、リソースにもしてるやん」と思った人もいるかもしれません。そうなんです。だからあなたの選択は間違いではない。ただ、いきなり過去へ、いきなり未来へは無理がある。だからスロープを作るのです。
「混乱しています」という声には——混乱はいいことだ、とエリクソン(20世紀を代表する精神科医・心理療法家)は言いました。新しい何かが生まれるときには、はじめに混乱がある。没入と解説を行き来した今日のあなたが混乱しているのは、当然のことです。
クライアントの何を見たいから。何を一緒に体験したいから。それを、一文のメッセージにしてみてください。そのメッセージは、そのまま言っても届きません。では、どうすれば届くでしょうか。
あなたがクライアントの中に見ている「ブロック」が、もしツイードのネップのように、その人の風合いを表す一本の糸だとしたら。取り除けるのか。取り除いていいのか。
コーチング4.0を半年かけて身につけるのが、トランスコーチ(養成講座)です。個別相談では、トランスコーチの受講生も同席して、実際に何をどのように学ぶのかをお話しします。
売り込む場ではありません。やることは3つです。
定員があります。いま自分の現場を動かしたい方に、時間を使いたいと考えています。
個別相談に申し込むトランスコーチ 個別相談のお申し込みページへ※ 本資料は、Day3の録画を文字起こしし、要点を整理したものです。「 」内は講義での発言をもとにしています(話し言葉の一部を読みやすく整えた箇所があります)。4択の傾向は、当日のチャット読み上げによるおおまかなものです。