昨日ネットを開いたら、
ショッキングなニュースが目に
しばらくの間呆然として
他人だし
もちろん会ったこともないし
しゃべったことがない、
国も違うし…
関係ないっちゃ関係ない。
でも僕にとっては
夢を与えてくれる
インスピレーションの源。
だからすごいショックでした
91歳…
つい前の日まで
自分の仕事をし続けていた
世界的なデザイナー、
ジョルジョ・アルマーニが亡くなられた。
あなたは35年前、
何をしてましたか?
あれは35年前のある日のこと
突然…
ほんと突然です。
なんか車が欲しいなあと思ったんです。
35年前は、まだネット社会じゃなかった。
NTTのISDN 64という
ファックスのようなノイズがするネット。
電話回線に毛が生えたようなもので
ものすごくゆっくりと
画像が現れるという時代。
そしてネットには全然情報がない時代。
そんな時代に思い立ったんです。
車が欲しいって。
そしてなぜか不思議なことに
頭の中には“アルファロメオ”という言葉が。
僕は別にアルファロメオが
好きだったわけじゃない。
ただ、名前を誰かから聞いていた。
だから思い立ったが吉日で
その週の休みの日、
僕は車のディーラーを訪ねた。
そして
その時にアルファロメオの
スパイダーに出逢ったんです
カッコ良い名前ですよね“スパイダー”
あ!これだな
と思ったんです。
車を自分で買うとことは初めて。
ローンも組めるかどうか…
しかもサラリーマン。
当時の年収の1.5倍の車を買おうと思うのは
まあなんとも冒険した。
で、
ディーラーの社長さんが応対してくれたんです。
どうぞ座ってくださいと。
そう言われて車に座った時に、
“驚いた!“
ひ貧相〜〜〜!
ひどく不相応。
惨めな気持ちになりました。

なんでこんなに似合わないの?
当時、僕自身はね、
もうすごい痩せてガリガリだった。
だから細身のパンツとジャケットが
お決まりのスタイル。
周りは“ルパン”とかモンキーパンチ!
呼んでました。
だからむしろフィアットの500

の方が似合ってんじゃないかって。
その時思ったんです。
よし、今はスパイダーを諦めよ。
でも50歳を超えた時に
きっと自分もちょっと中年太りになってる
恰幅よく、格好いい大人になって。
そしてジョルジョアルマーニの服でも
着こなせてるような男になってたら、
この車を買おう。
そう誓ったんです。
それから10年経って
ジョルジオ・アルマーニに再び会いました。
独立してすぐに
大きな企業研修の仕事をもらいました。
その時に自分をカッコ良くして、
できる人に見せたい。
そう思って伊勢丹に行って、
紳士服のスーツを見て回ったんです。
で、その時の身の丈で
ちょうどいいものを仕立てた。
で買った後、別のフロアにあった
ジョルジュアルマーニを見に行った。
自分が買った服の何倍もしたし、
独立直後だったので…
もちろん当時は
手が出るようなものではなかった。
そしてあの頃は
生きていくのに必死だった。
だから
アルファロメオの前で誓ったことなんて
すっかり忘れてた。
アルマーニの前でうろうろしてたら
お店の人が声をかけてくれたんです。
「よかったら着るだけでも着てみませんか」って
巷では
高級ブランドの店員さんは冷たいと
言いますが、
アルマーニは全然そんなことなかった。
「僕みたいな買わないとわかってる客に
どうして親切なんですか?」って
聞いたら
「買わないかどうかって言うのは
今日、明日のことですよね?」
でもひょっとしたら何年かしたら
ジョルジオを
選んでくれるかもしれない。
その時のために、ぜひ良さを
知っておいてもらいたいんです。」
感激したんです。
その言葉だけでなく、
着心地に…
僕は洋服を着て
これだけ感激したことはないです。
それは一枚の布が
空気を纏っている感じだった。
着ている感じがしない。
“空気”といっても、
それはエレガントさや
自信とそして
どことなく柔らかさの中にも
威厳を感じさせてくれました。
いつかをこれを普通に買えるような仕事をしよう。
そして五年経って
僕はジョルジョの服を手に入れました。
今、そこから八年経って、
今はもう洋服タンス?の中のほとんどが
ジョルジョで占めるようになりました。
人から見たら単に服です。
高いだけのブランド。
興味なし。
そう思えるかもしれない。
でも僕にとっては、
夢を実現したシンボルなんです。
かつて
ミルトン・エリクソンがセッションした
ある不和の家庭の子供。
その子供の独立を助けたエリクソン。
そしてその子供が大人になって
愛情を注ぐ子供に対して
エリクソンがサンタになって
クリスマスプレゼントの話を
娘さんにした。
エリクソンは
お嬢さんにこういったんです。
プレゼントの話はお母さんにしちゃいけないよ。
秘密にしなきゃいけないよ。
なぜならひょっとしたら、
お母さんが困っちゃうかもしれないからね。
でもあなたは心の中に
夢を留めておくことができる。
忘れたり捨てたりする代わりに
心の中にとどめておくことができる。
夢をあきらめちゃいけないよ。
そうすれば自然な形で
それは現実になる…
その6歳の女の子は
夢を秘密にした。
お母さんがどれだけ聞いても
教えようとはしなかった。
そして大人になって
夢をかなえてから
お母さんと話をしたそうです。
何が欲しかったの?
お母さんに聞かれた
大人になった娘は、
「馬が欲しかったの」
ニューヨークの都会に住んでる家族に
分不相応で非現実的な夢。
馬を飼う
その夢はそのときにかなわなかったけど
大人になってからかなった。
彼女は仕事で成功して、
郊外に住んで、
2頭の馬を買ったのです。
夢をあきらめない。
そして行動する。
そして何より
無意識にそれをとどめておく。
少なくと諦めたり、
忘れたりする代わりに。
ジョルジオも40歳まで
サラリーマンでした。
そして丁度ぼくが独立した時と同じ年に
ジョルジョもサラリーマンを辞めて、
そして自分のブランドを立ち上げたんです。
それから十年で世界的な帝国を築き上げた。
その後40年、
世界的な企業となり、
グッチやプラダや、
ルイヴィトンのような大手企業に
買収されることなく、
たった一人の男の人が夢を持って
野心を持って作った会社をまだ
独立資本として切り盛りしている。
僕にとってはシンボルなんです。
生き方のシンボル。
夢忘れちゃいけないよ。
改めてそれを思いました。
ジョルジョ・アルマーニ…
初心を教えてくれてありがとう。
そして
安らかにくつろいだあとは、
天国のありとあらゆる天使と神様に
あなたの服をデザインしてください。
では
