神崇仁 公式サイト

限界

863 views
約4分

今日はVBCの第7回の講座。

セッションにおける会話を
建設的なものにするための、

『伝え返し』の最も重要な技術

『再構力』のトレーニング。

再構力は、コーチに特有の
コミュニケーション能力の中で、
最も高度な組み合わせをする
意図と複数の技術の組み合わせ。

コーチングにおける
4回転トリプルアクセル
言えば、その難度は伝わるかも。

そんな中で、
ひとりの参加者から
質問を受けました。

「神先生がよく使う、
 『無理もありません』という
 言い回しは、今日まで
 使うことをしませんでした。
 私は医師です。
 そして末期の患者との会話に
 『無理もない』を使うと、
 余計にネガティブさを
 増幅する恐れがあるから
です。」

『無理もありません』は、
言語学の施術家さんたちが
患者さんの心を開く
人として受け取ってもらえた
と強く感じるパワーワードで、
「伝え返し」のアートの中でも
最も価値があるフレーズです。

でも、
そうではない。

と感じる人もいるのです。

だから、

「伝え返しは万能ではなく、
 これが絶対うまくいく。
 そういうものはないと思います。」

僕はそう答えました。

そして、もう一つ。

「これまで使うことを
 やめていたような、
 馴染みのない技術なら、 
 それを使うことによって、 
 これまでの使ったことのない
 経験から想定される
 「起こりうる結果」について
 心配するのも、 
 無理からぬことかもしれません。

「だからこそ、
 この言葉に続く、
 価値を高める言い回しには
 どんなものがあるか?
 ということに興味を持つのも、
 当然のことだと思います。」

高明なお医者様である、
その参加者の人は、
この言葉を「うん、うん」と
聞いていらっしゃいました。

人は誰でも、
馴染みのないもので
『価値がある』であろうものを
初めて使う、ことには、

とかく否定的な帰結を
持ちがち
なのは、
いうまでもありません。

ましてや、
前述のお医者様のように、
『命』の大切さや、
自身の言葉の影響が
命の長さに直結するのであれば
なおさらです。

使うのに慎重になるのも
無理もない話かもしれません。

だからそれは
『伝え返し』の限界、

禁忌と言えるのかもしれません。

でも、とても重要なことは、

この伝え返しは、
とても強い治療連盟の絆を作る

そんな効果があるのもまた事実です。

これは、ある心理療法家が使う
言葉を日本語訳したものであり、

これは単に、相手の行為や
思考に賛同するものではない、
ということを知ってもらえたら、
と思うんです。

無理もない、というのは、
前提として、

『本来なら望ましくない』が
『仕方なかった』という
意味が含まれます。

そして、
それは「無理もない」が
語られる前の文において、
引用される、状況において「のみ」
正当化される、という
限定性をも含んでいます。

つまり、
仮に相手の人が、

「もう生きていてもしようがない」

と言ったときに、
生きる望みをなくせ!と
助長するのではなく、

それをより大きな文脈において
その人に建設的である結果を
開いていくために必要な、
一時的で、限定的な状況において
止むを得ない選択である。

という承認のプロセスを踏むことで、
次の流れに向かうことができる。

支援者として、
一番はじめに取りうる、
ここにくるまでの
クライアントの選択について
非難でも、指導でもなく

また増長したり、
強化するのではない、

ただ、
その考え、行為になったことは
致し方ないことなのだ。

と変化の前段の承認を行う
プロセスの一部
なのです。

さらに、
そこに『かもしれません』

という断定を避ける
『蓋然性』を含ませる。

そうすることで、
この後に続く言明に
可能性の言葉を盛り込んで、
それを相手に受け取ってもらう
『扉』を開くことにつながるのです。

そして大事なことは、

習熟度と使う場面。

これに慣れるまでは
やはり練習が必要。

それを
あなたの人生のかかった、

あるいは誰かの人生を左右する

そんな重大な局面で
『練習する』のは、
避けたいですよね。

だからこそ、
日々トライする。

使える場面において、

安全に失敗できたり、
使うことで、次につながる
建設的なフィードバックが
手に入る状況において使う。

『限界とその克服の仕方』

何事も一つの答えではなく、
いくとおりもの考え方がある。

それが大切なんだ。

改めてそう感じました。

では!

この記事を書いた人

神 崇仁
しぐさと言葉の専門家 神 崇仁(Takahito Ko)
意識の成長の壁を越えるお手伝い

JR西日本伊勢丹バイヤー、経営企画室でUxと経営を学ぶ
7&i 生活デザイン研究所 チーフディレクター(消費者心理の研究)
2007年からNLP探求を始める(NLPトレーナー)
『砂漠の魔術師』(エリクソンの映画)のアジアプロデューサー
世界的コーチS.ギリガン博士の米国アシスタント
IAGC(国際ジェネラティブチェンジ協会)の日本代表
ハーバード大学R.キーガン博士や
数々のエリクソンのお弟子さんの日本での講座開催を主導
これまで13年、4200時間、6500万円を探究に投資してきた
参加者は『講座づくりの神』と呼ぶ…
FacebookでシェアTwitterでシェア