「伝えるよりも聴く方が大事ですよ!」
そういう感想をいただきました。
その理由をたくさん
書いてくださって、
ありがとうございます。
実際にされているからこそ、
その感想が出てくるのだと思います。
そして読み進めるにつけ、
『伝える』ことと、
1on1を実践する際の
マインドセットの不足とが、
ごっちゃになっていることに
気づきました。
今日はそれについて
書きたいと思います。
1on1は、組織内において
上司が部下に対して、
『業績』がテーマではなく、
『成長』をテーマにした対話だ。
という話をしました。
多くのビジネスマンは、
業績を挟んだ会話には、
馴染みがありますが、
部下の『成長』には、
馴染みがありません。
自分がそのように
接せられた経験がないのだから、
当然といえば当然です。
大人が何かを実践するとき、
最も実践的な学びは、
『模倣学習』であることは、
否定しようがない事実。
でも、
模倣学習が、単に
「俺の背中を見よ」という
学び手任せのスタイルに
なりがちなことも、
また事実です。
なぜか?
それは、
どのようにしたら
部下が興味を持って学ぶか?
そういう視点で、
教え方を学ぶ機会が
なかったから。
何を教えて、
何を自分で考えさせるか。
という教え方を、
トレーニングされてこなかった。
これでは、
1on1でなくても、
業績面談でさえ、
上手くいかないのです。
上位下達の情報伝達、
評価を伝えるだけの場。
ネガティブなことを
厳しく伝えて、
行動改善を促す。
自分がされてきたのと
同じやり方でしか
部下に接せないのは、
当然なんです。
『聴く』v.s.『伝える』
ニワトリが先か、
卵が先か、という考え方は、
僕たちプロだからこそ
できる考え方に過ぎないんです。
しっかりとした
トレーニングもなく、
数日の研修を受けただけで
1on1の実戦ができる…
それがほとんどの企業が
していることでしょうけど、
そもそも『対話する』ことを
行動ごとの要素に分けて、
その役割と、機能を
体得して初めて、
『聴く』と『伝える』を識別して
使い分けることができる。
僕はそう思うんです。
これを読んでいる人は、
普通のサラリーマン上司よりも
はるかに伝える、聴く、などの
コミュニケーションの要素に
詳しいのだと思うんです。
でも…
どれだけの人が、
「今は聴く時だ。
今こそ伝える瞬間だ」
そんなふうに
意識的に区分けして
行動できているでしょうか?
多分難しいのではないかと。
僕のところに学びにくる
ほぼ全ての人が、
初めは自分が
何をしているのかさえ
識別できていませんでした。
でもその識別と、
要素ごとの役割や
重要な機能を理解して
体得を始めるにつれ、
加速度的に成長していくのです。
そして、
上達した自分から、
かつての自分を振り返って、
僕たちの探求で、
何が最も役立ったか、
それを教えてもらうと、
多くの人がこう答えます。
『呈示力』
つまり伝え返しの力。
特に
クライアントを
『承認』するやり方を
手に入れたことで、
ラポールという信頼構築が
あっという間にできた。
同じ質問をしても、
返ってくる答えの深さが
違ってきた。
変化を起こすときの、
『能動性』に劇的な
違いを感じた。
そういうことを
教えてくれました。
ビジネス界では昨今、
『聴く』重要性が
最高位にあるかのような
捉え方をしている人が
たくさんいますが、
それは極めて
浅薄な意見じゃないか、
そう思うのです。
それぞれ異なる
ビジネスの場面に不可欠な
コミュニケーション能力の
特定と識別をなしに、
『聴く』だけを
重要視するのはどうかと。
むしろ、
あるやり方を使って
『伝える』からこそ、
『聴く』価値のある話ができる。
逆に言うと、
『聴いてほしい』と相手が思う
話が語られることになるのです。
僕は『聴く』を
否定したいのではなく、
相手が本当に語りたいことを
『聴く』ためには、
あることを『伝える』必要がある。
それは、
本ではわからない。
なぜなら、
ほんの著者たちは
実践していないだろうから。
そのことの価値は知っている。
言及もされている。
でも書籍の中で多くの
具体的事例を出しながら、
そのことについては
サラッと触れるだけ。
大切なことは分かるけど、
それを体系立てて
再現することはできていない。
そんな技術が
存在するとしたら。
それを使って
伝えることで、
たった一文で、
心理的安全が作り出せるとしたら。
あなたはそれを
見逃したままで
放っておきますか?
1on1を超えた1on1。
対話の技術です。
水曜日に公開。
ぜひお楽しみに。
では!