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物語をセラピーに使った世界初の医者

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約5分

まだ世の中に『傾聴』
という言葉がない時代。

まだ、ロジャーズやマズロー
人間性心理学という分野
メジャーにしていなかった時代

心理療法と言えば、
精神分析でした。

精神を病んだ人は、
精神病院に入るか、

精神分析医に分析してもらう。

そんな時代がありました。

患者はソファーに横になり
自分の内側に注意を向けて
あれやこれやの連想をする。

それを口にしていく。

患者と目が合わない位置に
置かれたカウチに深く座った
精神分析医が、
患者の話の中から洞察し、
患者に気づきを与える
分析を伝える。

そんな仕事が全盛だった時、
それらとは全く異なる方法を
すでに自分のものとして、
活動していた医者がいました。

その医者は、患者の正面に座り、
患者をある状態に誘導し、
そこで変化を引き出す言葉を
伝えていました。

洞察や指導ではなく、
患者自らが深いところで
新しい繋がりを見つけ出す。

そんなメタファーや、
誰かの逸話。

お話を使って、
患者の変化を引き出す。

その医師の名をミルトン・エリクソン。

当時30代後半から
40代前半だった
ミルトン・エリクソンは、

世界で最初に、心理療法に
お話を持ち込みました。

1944年にエリクソンによって
書かれた論文があります。

『催眠被験者に実験的神経症を起こすために複雑な物語を使う技法』

この論文の中で、エリクソンは、
はっきりと、『何を言うか』という
中身よりも、『どのように言うか』が
効果を決めると述べています。

エリクソンの高弟である、
ジェフリー・ザイクは、
エリクソンがその後
30年近くにわたって磨き続けた

ストーリーの使い方を受け継ぎました。

そして彼のやり方を発展させて、
アドバイスではない、
喚起的なやり方を体系化しました。

かつて僕が台湾でザイク博士の
セッション指導を受けた時、

夜の食事でこんなことを
言われたことがあります。

僕はその時、160人の台湾人、
中国人の心理療法家や
精神科医の見守る中で
すごいプレッシャーを感じていました。

僕は医者でも
有資格の心理療法家でもない。
単なるコーチです。

たまたま、
台湾のエリクソニアンの
中心的リーダーと親交があって、
彼らが強く僕を
推薦してくれたことで、
参加が叶った集まり。

彼らにも迷惑を
かけちゃいけない。

恥ずかしい
思いをさせてはいけない。

そんな気持ちで
自分のセッションの前日を
迎えた時、

博士がこんな話を
してくれました。

きっと博士くらいの
権威があるなら、

「心配しなくてい、
 自分なりにやればいい。」

アドバイスすることもできたはず。
(気休めにはならなかったと
思いますが)

ザイク博士はそうしなかった。

「かつて私は、
エリクソンの代理である会議に
出席したことがあるんだよ。」

そこで私は、
すごく惨めな気持ちになった。

周りは私より遥かに年齢の高い、
権威ある高名な先生ばかりだった。

そこで、自分の先生である、
エリクソンがとても軽んじられて、
バカにされているようにさえ思えた。

自分のせいでエリクソン先生が、
ひどい言われ方をした。

そんな申し訳ない気持ちで
いっぱいになった。

そして私はことの経緯を
博士に電話で話すことになったんだ。

博士にはオドオドしながら
電話をしたのだが、
その時、励まされたり、
怒られたりもしなかった。」

ただ博士はクスクス笑いながら
平然とこう言ったんだ。

『ようこそジェフリー、
 MEN’s World(大人の世界)へ』

私は、その言葉で
ずいぶん救われたよ。

しかもその時だけじゃなく、
その後もずっと、

どんな重苦しい場面でも、
これは新しい世界なんだ。
『ようこそジェフ、あたらしい世界へ』
ってね。

ジェフ先生は、諭したり、
寄り添ったり、慰めたり、
指導したりする代わりに、

ただ、その話をサラッとして、
その後、中華料理に舌鼓を打ち、

長い付き合いである
他の生徒さんからの贈り物に
ニコニコしながら談笑した。

僕は救われた感じはなかったし、
ほっとした感じもしなかった。

でも、翌日起きたら、
不安よりも、『あたらしい世界』

その舞台に立つんだ!という
武者振るいと、

会場を沸かせるために
何をしよう??

そんなことを考えて
セッション会場に
向かったことを覚えています。

僕は博士と過ごした4日間に
たくさんのメタファーと
ストーリーを受け取りました。

そして自分でも
下手な英語でメタファーと
ストーリーを使って
セッションをすることで
クライアントが
変化することを体験したんです。

その時以来、
いつか絶対にこの先生から
ストーリーを学ぶぞ。

そう決めてました。

それがいよいよ実現します。

2021年9月5日から。

ジェフリーザイク博士
『ストーリーテリングのアート』

恒例の2時間モーニングセミナー
全4日間で開講が決まりました。

そしてこの日曜日から、
メルマガでも募集を始めます。

ストーリーが使えると、
コーチング、
心理療法、
対人支援だけでなく、

プレゼンテーション、
セールス、クロージング。

ライティングまで
自分のスキルの幅と表現が広がり
効果が圧倒的に変わります。

しかも、他では絶対に学べない。

変容のためのストーリーです。

あなたは、どんな場面で、
効果的にストーリーを語りたいですか?

この記事を書いた人

神 崇仁
しぐさと言葉の専門家 神 崇仁(Takahito Ko)
意識の成長の壁を越えるお手伝い

JR西日本伊勢丹バイヤー、経営企画室でUxと経営を学ぶ
7&i 生活デザイン研究所 チーフディレクター(消費者心理の研究)
2007年からNLP探求を始める(NLPトレーナー)
『砂漠の魔術師』(エリクソンの映画)のアジアプロデューサー
世界的コーチS.ギリガン博士の米国アシスタント
IAGC(国際ジェネラティブチェンジ協会)の日本代表
ハーバード大学R.キーガン博士や
数々のエリクソンのお弟子さんの日本での講座開催を主導
これまで13年、4200時間、6500万円を探究に投資してきた
参加者は『講座づくりの神』と呼ぶ…
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