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大統領の演説を催眠的に分析してみた<前編>

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約5分

おかげさまで
ゴールデンウィークのワークショップ

変化を生む言葉のアルケミー。
どんどん参加者が増えています。

僕の催眠の探求のダイジェスト。

エリクソン催眠を
シンプルにして

奥が深い学び。

僕が10年に渡って、
誰も教えてくれなかった
エリクソンの言葉の秘密

そして12人のメンターたちから
学んだ催眠の叡智…

それらを凝縮して詰め込んだ講座です。

昨日の動画を視聴してくれた方に
説明動画を案内しています。

もしあなたが昨日のウェビナーに
申し込んでいるなら、
すぐにメールボックスを
チェックしてください。

さて昨日、ウェビナーの前に、
テレビで国会の中継を見ました。

今話題のウクライナの大統領の
ゼレンスキー氏の演説
を見ました。

同時通訳がなかなかすごくて
理解するのが大変でした。

だから今日、
ネットでその全文を見ました。

催眠的な観点で分析すると、
非常によくできてる
と感じたので
ここにご紹介しますね。

ちなみに、
これは国会での演説の是非や、
ロシアとウクライナの
どちらが良い悪いを、
判断するものでもないです。

どちらに対して
シンパシーがあるか、

それも関係ありません。

これが仮にロシアの大統領が
スピーチした、のだとしても
僕は取り上げたと思います。

そんな肩入れの話はともかく、

このスピーチの分析は、
あなたのビジネスや
プレゼンにめちゃくちゃ役立ちます。

そして結論から言うと、
とても素晴らしい能力を持った
スピーチライターがいるのだろうと。

そう思いました。

詳しくは、今後リリースする
Youtubeで解説しようと
思っていますので

そちらをご覧いただければと思います。

では、内容を見ていくと…

__________

全体の構造
__________

冒頭の挨拶…人称の移動、
私の気持ち、目の前の相手への感謝、
そして特筆すべきは、
ここで自分が話す価値
希少性について言及している点

“私がウクライナ大統領として、史上初めての(国会で演説する)外国の国家元首として、”

内容や経緯はともかく、
『史上初』という限定性は
無意識のうちに人を興味に導きます。

これは、あなたがスピーチや
ビジネスプレゼンをする上でも、
何らかの限定性、
日本の場合は『縁』にまつわる
短いエピソードなどを挿入すると
効果的だろうなと思います。

そして次の段落、
ここが上手い。

“両国の間には8,190kmの距離がございます。経路によっては飛行機で15時間はかかります。ただし、お互いの自由度を感じる気持ちの差はないです。また、生きる意欲の差もないです。これは2022年2月24日に実感しました。日本はすぐに援助の手を差し伸べてくださいました。心から感謝しております。”

まず目を引くのは、
具体的な数値があると言う事。

8190km、15時間、2022年2月24日…

これら当たり前のことを具体的に
数字にして言うことが、
僕たちの中に自然と信用に値する
感覚を引き出します。
『数字による権威づけ』です。

両者の間で当たり前、
とされていることを話すと
相手からYesが引き出されます。

Yesの連続は、親しみにつながります。
影響力でいう『好意』

そしてそれに加えて、
数値を付け加えることで
『信用できる』
=権威を引き出すことになります。

今日は次で最後にしますが、
次の段落は、催眠的に有効な方法、

『リカージョン』
スピーチに取り入れた好例です。

“ロシアがウクライナの平和を破壊し始めた時に、世の中の「本当」の様子を見ることができました。本当の反戦運動、本当の自由・平和への望み、本当の地球上の安全への望み。”

この第一文は、
『時の従属節』と言われるもの。
「~した時に、~した」という
構造の文章です。

これはとても催眠的。

~した時に~した

この文章の中で、
僕たちが自動的に
注意を向けるのは、

『世の中の本当の様子を見ることができた』

の部分です。

そしてその部分を理性が
理解するとき、

脳内では、あるイメージを作るのです。
それは、前半部分の
『~した時に』の内容が
どんなものであれ、

それを自動的に受け入れ、
心の中でイメージしてしまう。

「ロシアがウクライナの平和を破壊した。」

破壊のイメージを背景にして
『本当の様子を見る』ように
聞き手が勝手になってしまう。

これはエリクソン催眠における
間接暗示の中の
『前提』といわれる技法
です。

そしてその後、
リカージョンという
効果的なイメージ話法が続きます。

『万華鏡』トークとも言われます。

一つのことをさまざまな
異なる表現で伝える。

そのことにより、
聞き手の無意識にメッセージが
イメージとして自然と根付きます。

『本当の』という言葉をリズムにして。

本当の様子→
1.本当の反戦運動
2.本当の自由
→(発展させて)平和への望み
→本当の+望みを組み合わせて
ここまでのメッセージを
まとめ上げています。

“本当の地球上の安全の望み”

いやぁ、極めて催眠的。

しかも間接暗示の
オンパレード
です。

これが同時通訳でなければ
もっと伝わったでしょうに。

明日はこの続きを。

なお、これについては
政治的な意図はありません。

催眠やプレゼンについての意見は
喜んで受け付けますが、

ロシアやウクライナについての
考えについては、
ご遠慮ください。

では!

この記事を書いた人

神 崇仁
しぐさと言葉の専門家 神 崇仁(Takahito Ko)
意識の成長の壁を越えるお手伝い

JR西日本伊勢丹バイヤー、経営企画室でUxと経営を学ぶ
7&i 生活デザイン研究所 チーフディレクター(消費者心理の研究)
2007年からNLP探求を始める(NLPトレーナー)
『砂漠の魔術師』(エリクソンの映画)のアジアプロデューサー
世界的コーチS.ギリガン博士の米国アシスタント
IAGC(国際ジェネラティブチェンジ協会)の日本代表
ハーバード大学R.キーガン博士や
数々のエリクソンのお弟子さんの日本での講座開催を主導
これまで13年、4200時間、6500万円を探究に投資してきた
参加者は『講座づくりの神』と呼ぶ…
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