これは本当の話です。
数年前、伊勢丹時代の仲間と
同窓会をしていた時のことです。
「最近、神ちゃん、
何してるの?」
ほろ酔いになった
昔の上司が僕に聞きました。
学生時代はラグビーで
ならした上司。
ファッションのセンスや
仕事については、
いまいちでしたが、
ポジティブさと面倒見の良さで、
人望の厚さは半端なかった。
「え、今ですか?」
「ファッションからは
足洗ったんでしょ。」
そう聞かれて、
「コーチングって知ってます?
今、人が成長するときに
ぶつかる壁を越える
手伝いをしてるんですよ。
それが仕事です。」
そういった時、
遠くの席で、
嘲笑と大きな声が
聞こえました。
「あの神が成長だってよ。」
「ないない、壊す方でしょ。」
そんな言葉だったと
思います。
昔の言動を知っている連中なら、
そう思うのも無理もないよな。
そう思って、
聞き流していると…
ほろ酔い上司が、
「俺、こないだ会社で
コーチング研修っての
受けたんだよね。」
「どうでした?」
「最低だね、
あんなのやる意味ない。」
「ああやれ、こうやれって、
偉そうに。
結局、会社でやれない奴が、
こういう道に逃げるんだ、
そう思ったよ。」
「そうだったんですね。」
「そう、だから
あの神ちゃんがコーチングって
両方の意味でピンとこないな。」
「両方の意味って?」
「神ちゃんは、昔からしゃべり
うまかったし、面白かったけど、
人の話は聞かなかったよね。
それと、成長ってさ
そんな簡単にできないじゃん。
しかも、あの神ちゃんでしょ。
なんかね~。
ちょっとインチキくさい。」
本当にいい上司だった彼から
コーチングそのものを
否定されたこともあって、
ちょっと腹立たしい気持ちに。
そしたら、その場にいた
『御大』と呼ばれる大御所が
口を開きました。
「でもさ、変われるって
すごくないか?。
あの神が変わったんだし、
まさに生きた証明じゃない。」
助け舟を入れてくれました。
その時、元上司が、言ったんです。
「じゃあさ、俺にやってみてよ。
そのコーチングってやつ。」
「僕もお酒入ってるから、
そんな状態ではやれないですよ。」
「いいじゃん、
別にお金払うわけじゃないし、
変わった神ちゃんの話聞きたいし。」
「じゃあ、話聞くだけですよ。」
そう言ってほろ酔い加減の
元上司の話を聞き始めること
7分後…
場が静まり返りました。
そして周りが固唾を飲んで、
僕たちを見守っていました。
別に大声で
言い争ったわけでも、
馬鹿にされて僕が席を立った
わけではありません。
ただ、冒頭にワンフレーズ。
そして耳を傾けた後、
いくつかのシンプルな
問いを投げた。
そしてその答えに対して
一言だけ伝え返しただけ。
目の前の上司が
男泣きしていました。
コーチングの
悪口から始まり、
認められていない今の環境。
そして家族が病気と
診断されたこと。
「認めさせてやろうという
自分自身にかけた期待に
みあった結果が
得られていないという実感。
それだけでなく、
大切にしてきた息子さんに
そんな診断が下った状態で、
いろいろ話せ、とか
心をひらけとか、
あれやこれや言われたなら
コーチングに対して
そんな気持ちを持つのも、
致し方ないですよね。
そして辛い気持ちが
上乗せされてしまいますよね。」
その後ひと月経ってから
その上司からメールがありました。
時間をとって欲しい。
飲み会の席だけど、
自分の部下たちの話を聞いて、
神ちゃんのしてること
教えてあげて欲しい。
色んな人がいるんだ。
人は成長するんだって
それを若手に教えたい。
そんなメールでした。
僕自身、
支援者としては、
周りが嘲笑するような
関わり方をしていた時代があります。
周りから怖がられることで、
一目置かれていると、
勘違いしていた時代があります。
でもそれはそういう人間だった、
ということではなく、
それしか表現の仕方が
わからなかった。
社会人の体をした
反抗期の中学生のようなもの。
単にどうやったら良いか、
その見本を知らなかったし、
やり方を知らなかった。
僕にとっての見本。
今やそれは
スティーブであり、
ジェフ先生であり、
ロバートキーガン教授という
ロールモデルがある。
そして
エリクソンを始めとした、
変化を引き出す言葉の使い方を
使える自分がいる。
やり方を知らないだけ。
それを知れば、
誰だって変化が起きる。
それが今日の1on1で
一番知って欲しかったこと。
いよいよエリクソン流1on1
【成長支援の言語学】
誰だってメンターになれる。
そんなプログラムの申し込みが
始まりました。
楽しみです。
では!