『コーチング4.0』レター 第7話

良いセッションに必要なことって


今日、
とある人に相談を受けたんです。

「教わった技術が使えません。
効果が出ないんです」って。

で、よくよく話を聞きました。

すごい誠実な人。
そしてすごく一生懸命で、
クライアントのために
変化が起きるように、
日々一生懸命やっている。

そう、一生懸命なんです。

でも、学んだスキルで
結果が出ない。

人によっては、

「それって、
スキルとクライアントの
相性が悪いの?」

って
思っちゃうかもしれません。

あなたはどう考えますか?

僕は今日、
そのことからすごく深く
学びました。

その真面目さが
うまくいかない原因を作っている
可能性がある、
それを感じたんです。

その人は、
僕が用意した質問の順序に
基づいて質問したんですが、

その時にクライアントから
「わかりません」と
言われたそうです。

しかも、4つの連続した
質問のうちの2つ目で、
すでにそれが起きてしまった
とのことでした。

そして、よくよく話を聞いたら
面白いことがわかりました。

クライアントは
来たくて来ているわけではなく、
ある人に強制的に
来させられている。

そして、そのクライアントは
とても誠実で良い人なんですが、

ペアとなって
その人をケアする予定になっている
別の支援者との間で、

「彼女(クライアント)は
ちょっと難しい人だよね」
という合意が出来上がってしまっている、
ということでした。

ありますよね。

クライアントによって
「自分でやりにくいな」とか
「相性の問題があるな」と、

自分がうまくいかない感じを
過去の経験から
持っていること。

そして、特に知的で
理屈っぽかったり、

あるいは自分と
反応の仕方が違ったりすると、
やっぱり難しさを
感じるわけですね。

そんな時、
あなたならどうするでしょうか?

例えば、
あなたが言うたびに反発する、
あなたが言うたびに嫌な顔をする、

そういうような
クライアントだった時、

あなたは同じように
考えるんじゃないでしょうか。

「ああ、難しい
クライアントだな。
やっぱり思ってた通りだ」と。

僕は二つのことに
気がついたんです。

1. 誠実がゆえに
犯してしまう、
やりがちなこと
2. うまくいかないときに、
僕たちがクライアントに
貼ってしまうラベル

誠実な人というのは、
学んだことを
そのままやってくれます。

ところが、
クライアントと
支援者の会話って、

手順やテンプレートに
常にぴったり
当てはまるわけではない。

だから、人によっては
「どういうやり方を
していくのか」
ということを

テンプレートや
手順通りにやるのが
難しい時がある、

というよりも、
ほとんどが
そういうケースに
当てはまるわけです。

4つのうちの2つの質問を
どのようにしたのかと
尋ねると、

そのクライアントに
まず1つ目の質問をして、

そして返ってきた答えから
すぐに2つ目の質問に
入ったとのこと。

そうすることによって、
クライアントは
「分かりません」という
返事になったというわけです。

あなたはここで、
何がうまくいかない要素になったと
推測を立てるでしょうか、
見立てをするでしょうか。

僕がすごく気になったのは、
「来たかったわけじゃない、
自分で来るのではなく
来させられた」という
強制が働いていることです。

つまりこれは、
変化のステージモデル
(TTM モデル)からすると
「前熟考期」という、
やる気にもなっていない段階だと
思うんです。

同時に、その人が
「無理やり来させられた」
という気持ちで
その場に臨んでいるとするならば、

支援者とその人との関係は
まさに敵対関係という状態に
なっていることが想像できます。

そんな中で、
命令形態の一つである質問を、
出てきた言葉の承認もなしに
矢継ぎ早にされたら
どう思うでしょうか。

そりゃ答えたくないし、
それは無理もないわけです。

そして、こう考える人が
いるかもしれません。

「でも、クライアントは
『分かりません』って
言ってるじゃないですか」と。

クライアントが
「分かりません」と言うときには、
いくつかのパターンがあります:

1. 「分かりません」と言うのが、
最も体よく「答えないよ」ということを
角を立てずに言える
やり方であるパターン

2. 本当にその文章構造が
理解できないから、
答えられなくて
「分からない」と言っているパターン

支援者の方は、
クライアントが
「分かりません」と言うときの
パターンを「2」ではないかと
見立てていた。

なぜかというと、
彼女はクライアントの
知的な理解度が低いと
見なしていたからだ
(これは彼女自身が
教えてくれたことだが)。

僕たちには、
クライアントを見立てる義務は
ないけれども必然はある。

クライアントを見たときに、
自分の過去の経験と
照らし合わせることは
よくあるし、

そこで「こういうタイプ」という
類型に分けることもある。

これは、僕たちが
経験の中で生きる生き物として
ごく自然なことだ。

だけど、
「クライアントはこういう人だ」と
決めつけた瞬間に、

僕たちはその色眼鏡を
かけたままクライアントを
見ることになる。

クライアントと自分が
まだ敵対関係にあるという
状況を乗り越える前に、

踏むべき手順を踏まず
質問を繰り返してしまうというのは
一つの失敗例だが、

「クライアントは難しい人、
理解度が低い人」という
見立てをしてしまった瞬間に、

僕たちの心の目は
色のついたレンズで
曇って見えなくなってしまう。

そんなことを
まざまざと目の当たりに
させてもらった。

僕自身の伝え方や
トレーニングの仕方についても、
見直さなきゃいけない点が
たくさん見つかった。

今日はそれを教えてくれた
参加者さんに、
本当に感謝しています。
ありがとう。

神 崇仁(こう たかひと)/このページはメールでお届けした文章です。