『コーチング4.0』レター 第23話
以前、ある受講生の方が
ホットシート(公開セッション)に出て、
ご自身と娘さんとの関係について
相談をしました。
(ご本人のお名前は伏せて、
ここでは「彼女」と呼びます)
彼女の願いは、
娘さんとの関係を
良くしたい、というものでした。
そしてそこから
彼女自身が変わることで、
娘さんとの関係が
少しずつ変わっていきました。
これはよくある
セッションの成功事例だったりします。
ただ、コーチング4.0では、
これを単に「セッションが成功した」
とは捉えません。
娘さんとの関係を良くしたい、
という気持ちが
彼女の中のどこかにある一方で、
かつてのある経験や
そこからの学びといったものが
それをさせない、
あるいは
「それをしたところでどうにもならない」
という考えに至る、
そういうプロセスがあるわけです。
それをどのようにしたら
行動へとつなげていけるのか。
人によっては、
ビリーフを変えようとしたり、
ブロックを解除したり、
過去の人生や家系のトラウマに
対処しようとするかもしれません。
やり方に
正しい・間違っているは
ありません。
どれが最も効果があるか
優劣もありません。
僕が大切にしたいのは、
「どのようなスタンスでクライアントと関わるか」なんです。
僕たちは
「取り除いてあげる」
というスタンスを取りません。
なぜなら、
人の支援というのは
シロアリ退治ではないからです。
相手の中に巣くった外来生物や
良くないものがあり、
そのままにしておくと害をなす、
そして自分ではどうしようもないから
専門業者に頼む――
これが「駆除の理論」です。
たとえばブロック解除も、
「外側から相手の何かを書き換えたり、
取り除いたりしてあげる」
というスタンスで行えば、
駆除の理論になります。
僕は、駆除の理論に基づく場を
作りたくありません。
駆除の理論そのものがダメなのではありません。
本物の害虫駆除や、
急を要する医療の場面では
必要な考え方です。
ただ、心の支援にこれを持ち込むと、
クライアント自身が受け身になり、
無力感に苛まれている
「無力な人」という位置づけのもとで
セッションや施術が
なされてしまうからです。
だからこそ僕たちは、
彼女が有能であることを
前提とします。
様々な経験や学習の中で、
本来持っている能力を
使いこなせない心の状態にあるだけであり、
その状態を選び続けることもできれば、
眠っている能力を活用して
できるように変わっていくことも選べる。
コーチは、その状態を
外から変えようとはしません。
今の彼女の状態に
ペースを合わせながら、
「本当はどうしたいのか」
「今の自分にできることは何か」
を本人が見つけられるように
問いかけていきます。
どちらを選ぶかは、
最後まで本人に委ねます。
セッションの中では、
そうした選択を本人が
自ら行っていきます。
5日間ワークショップで
見本セッションを受けてくださった
伊藤顕子さんも、
まさにそうでした。
2年前にセッションへ来られて、
その後僕たちのチームで
サポートメンバーとしても
支えてくれている方から、
先日連絡をいただきました。
「学んで本当に良かった」とのこと。
なぜかというと、
ご自身の娘さんが
パニック症状を起こし、
さまざまな痛みを伴う身体症状を
目の前で出されたそうです。
その際、
引きずられそうになる自分を
受け止めつつ、
「今自分ができること、
そして目の前で痛みを抱えている
娘さんができることは何だろうか」
と考え、
シンプルに学んだ
メッセージの伝え方の
最も基礎的な部分を
伝え続けたそうです。
するとしばらくして、
娘さん自身が自分の力で
落ち着くことができた、
とのことでした。
もちろん、時間の経過など
言葉がけ以外の要素も
あったのかもしれません。
また、これはチームの仲間からの
振り返りですから、
効果の証明というより、
あり方の一つの例として
受け取ってください。
大切なのは、
こちらもパニックに巻き込まれたり
無理に何かを押し付けようとしたりする
代わりに、
「娘さんにできることは何だろう」
と考えてそこにフォーカスし、
共に場を作っていくことが
できた点です。
「このあり方こそが、
ここで学んだ価値だった」
と伝えてくれたことが、
僕はとても嬉しいなと思います。
ひとつ、大事なことを添えます。
激しい痛みを伴う症状は、
医療が必要な状態と
見分けがつかないことがあります。
まず、救急や受診が必要かどうかを
見極めること。
これが大前提です。
あり方は、医療の代わりではありません。
医療と並行して、あるいはその上で、
目の前の人を支えるためのものです。
そのような緊急時や、
こちらの気も焦って
つい過度な行動をしてしまいがちな
状況の中で、
自分を保ちながら
目の前の人の健康や安全に配慮して
関わることができる。
そんな人が
もっと増えていくと嬉しいです。
コーチング4.0を実践として学ぶ講座、
トランスコーチ。
ここで学んだ方の中には、
ビジネスの結果が良くなった
という人もいれば、
家族関係が自然と改善した
という人もいます。
もちろん、その人自身の努力や
環境の変化もあるでしょう。
それでも皆さんが話してくれるのは、
自分のあり方が変わることで
相手がオープンになってくれた、
ということです。
本当に嬉しいことですね。
コーチング4.0というのは、
駆除の技術ではなく、
眠っている能力を目覚めさせる、
覚醒の技術です。
技術としても、
僕自身がミルトン・エリクソンのワークや
直系のお弟子さんから
直接教わってきたことを、
僕の中で再度体系化して
実践できる形で
お伝えしてきました。
何よりも、
その中で僕たちが学んできた
エリクソンのあり方、
そして支援をするときに
僕たちが考える最適なあり方を
身につけてもらいながら、
その技術を使えるようにしていく
というのが、
このトレーニングの
最も重要な特徴じゃないかなと思います。
これは5日間の無料ワークショップに出て、
そこから自分で探求する
ということだけでは
到底たどり着けない領域になります。
あり方というものは
教えられるものではなく、
ある一定期間共に学びながら、
重要な瞬間瞬間で
興味のあることや必要なことを聞いて
身につけ、
実践をして
自分のものにしていくものです。
ぜひあなたも
トランスコーチを学ぶと決めていただいて、
個別相談にお越しになってください。
まもなく締め切りとなります。
神 崇仁(こう たかひと)/このページはメールでお届けした文章です。